D1・D2・D3を区別しなければ、韓国の国家債務を読み違える
韓国の財政債務には三つの範囲がある。それぞれが実際にどう使われるのかを軸に整理し、国際比較でこれらを同じ比率のように並べてはいけない理由を説明する。
KOREA · 5分 · 更新 2026-04-25
韓国の財政債務には三つの範囲がある。それぞれが実際にどう使われるのかを軸に整理し、国際比較でこれらを同じ比率のように並べてはいけない理由を説明する。
D1は最も狭く、最も頻繁に目にする数字だ
D1は中央政府と地方政府の直接債務を指す。予算案や決算、国内の財政報道で「国家債務」と呼ばれるとき、最もよく登場するのがこの範囲だ。定義が狭いぶん、財政当局が短期的に管理する対象とよく噛み合う。
だが狭いということは、小さく見えるということでもある。公共機関や公企業が抱える債務は財政に跳ね返りうるのに、D1には含まれない。だからD1だけを見て「韓国は極めて健全だ」と結論づけてしまうと、分析が早計になる。
D2は国際比較により適している
D2はD1に非営利の公共機関の債務を加えた一般政府債務だ。IMFのような国際機関が各国の財政上の位置を比べるとき、しばしばこの範囲を用いる。政府の組織や公共機関の構造は国ごとに異なるため、横並びで比べるにはより広い範囲が要る。
WorldRealDebtは、国内での使い勝手が高いD1を韓国のヘッドラインに据える一方、比較ページではD2を別に示している。利用者がまず確かめるべきは、ヘッドラインの数字と国際比較用の数字が別物だという事実だ。
D3は公共部門全体の負担を映す
D3はD2に非金融公企業の債務まで加えた、最も広い定義だ。鉄道、電力、住宅、インフラといった分野の公企業債務は、政府財政とは切り離されて見えても、危機のときには公共部門のリスクへとつながりうる。
D3は日々の報道では目立たないが、長期の財政持続性を見るうえでは重要になる。とりわけ金利上昇、人口減少、公共料金の抑制策が重なると、公企業の債務が政府保証や財政投入の問題として戻ってくることがある。
定義を変えれば順位が変わる
同じ韓国の国家債務でも、D1はGDP比約45.8%、D2は約56.5%と出る。10%ポイントを超える差が、非営利公共機関を含めるか否かの一点で生じる。どちらも誤った数字ではないが、二つを混ぜて引用すれば、同じ国について相反する結論が出てしまう。
この差は国際比較で順位を逆転させることもある。韓国のD1(45.8%)と中国の公式政府債務(58.6%)を比べれば差は13%ポイントだが、韓国のD2(56.5%)に置き換えれば2%ポイントまで縮む。定義一つで印象全体が変わるわけだ。
だからニュースや報告書で国家債務比率を見るとき、まず確認すべきは数字ではなく、その数字がどの系列かである。出典にD1かD2かが明記されていなければ、その比較はまだ検証されていない状態とみなすべきだ。
本サイトがヘッドラインにD1を用いるのは、国内の財政論議で最も頻繁に引用される公式系列だからである。ただし国際比較の画面ではD2基準を併記し、どの定義で比較しているかが画面上ですぐ分かるようにしている。
どの定義をいつ使うべきか
国内の財政論議、とりわけ予算編成や国債発行計画を扱う場面ではD1が適する。政府が直接返済責任を負い、予算で管理する範囲がD1だからだ。財政運営の実務単位と指標の単位が一致する。
国際比較にはD2が適する。IMFやOECDは一般政府ベースで統計を整えるため、D1で比較すると韓国だけが狭い範囲を用いることになり、実際より低く見える。国家間の順位や平均との位置を語るときは、D2を使ってこそ等価な比較になる。
長期の持続可能性を論じるときはD3まで見る必要がある。公企業が担ってきた道路・鉄道・住宅・電力事業の債務は形式上は政府の外にあるが、最終的な責任の所在は曖昧ではない。世代間の負担を論じる場でこの範囲を外せば、議論は狭くなる。
まとめれば、唯一の正解があるのではなく、問いごとに適した定義が異なる。したがって数字を引用する際は値とともに定義を必ず添えるべきであり、定義を明かさない比較は信頼できないとみておくほうが安全だ。
比較の前のチェックリスト
韓国を日本やアメリカ、中国と比べるときは、まず債務の範囲をそろえなければならない。韓国のD1、日本の中央政府債務、アメリカのTreasury Debt to the Pennyはいずれも公式の数字だが、互いに同じ制度ではない。同じ対GDP比のように並べてしまうと、定義の違いが覆い隠されてしまう。
したがって正しい比較の順序は、範囲の確認、基準日の確認、名目GDPの分母の確認、そして補間の有無の確認だ。本サイトの出典表と、APIのbaseAsOf、meta、citeAsという各フィールドは、この四つを機械的に確かめるために用意されている。
引用および出典表記ガイド
学術論文、政策レポート、報道記事での引用には以下の標準形式をご利用いただけます。
WorldRealDebt Research Desk. (2026). "D1・D2・D3を区別しなければ、韓国の国家債務を読み違える." WorldRealDebt Sovereign Debt Observatory. Retrieved from https://worldrealdebt.com/ja/stories/korea-d1-d2-d3-debt/この分析を共有
出典と検証
出典:韓国・企画財政部の国家債務、IMF Global Debt Database、WorldRealDebtの /glossary/ と /api/live.json メタデータ。
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